築地・大森 合がけ(700円)
前日から、とある仕事のために東京へ。
6年前にブログを始めてなかったら、絶対に携わることのなかった仕事のために上京する度、自分なんかに縁をいただけることにありがたさを感じる。
で、その翌日。自分の縁が広がるきっかけとなった、こちらの方のブログに書かれていた記事を見て、「絶対に行かねば!」と思い、築地へ向かう。目的のお店は「大森」。
丸椅子に座って注文したのは、このお店名物の「合がけ」、もんぜき通りの顔として親しまれるお店の顔は、牛丼とカレーのハーフ&ハーフ。
大きなジャーの蓋が開き、おかみさんがお皿にごはんを盛る。そして、半分に牛丼の具をかけたら残りの半分にカレーをかける。そこにスプーンが添えられて出来上がり。
クタクタに煮込まれた牛肉、飴色に染まったタマネギ。そして、カレーのスパイシーな香り。時間をかけて丁寧に調理された姿が食欲を刺激する。
まずは、牛丼側を一口。煮汁の味がぎっちりと詰まった肉とタマネギの甘みが、二口三口と口を進める。
そして、カレー側。具がゴロゴロと入ったものではなく、ソースとごはんの絡みを楽しむシンプルな型。でも味はしっかり型。やさしい牛丼の味と対比にある、ちょっと刺激的な味だからこそ、こちらも二口三口と進む。
で、このお店の牛丼は「すき焼き風」とされている。確かに、味も甘口で出汁が効いた、まるですき焼きを鍋からごはんに乗せたような味。でもその理由の大きな部分は、
この焼豆腐。
口当たりふわっと軽く、でも密度のある豆腐、煮汁しか持ってないかのように、ぎっちりと旨みがしみ込んでいる。商売的な味ではなく、身近な人に美味しいと感じてもらうかのような、温かい味が一口頬張るごとに溢れる。
大正時代から色々なお客さんに親しまれ育まれ愛されてきたからこそ、今も残る店の味。それってつまりは人との縁が生み出してきた味。
30代中盤に近い自分が生まれる遥か前から、この味はお客さんに育まれてきたのだから、いわば師匠な味。
自分も、このお店が築いてきた縁のように、色々な方に親しまれ育まれ、愛されるような縁ができるような人間でありたいと思いつつ最後の一口を食べる。
おかみさんにごちそうさま、そしてお疲れ様でした。この味を知る方との縁ができることを誇りに思います。