【源八寿し/兵庫県神戸市】1カン70円スタート!財布に優しくお腹はしっかり。
ファミコン世代にとって、この町の名前を聞いて頭に浮かぶのは『たけしの挑戦状』のカラオケ。『あめのしんかいち』をツーコンのマイク片手に歌ったこともあった自分が、神戸の達人の案内でグリル一平を訪れたのは今から11年前のこと(昔のブログ記事って恥ずかしいですね…)。
干支がほぼ一回りするほど久しぶりに訪れた町を自分のペースで歩いて、「こんな感じだったんだ…」と新鮮な景色を記憶に落とし込みつつ、町の中心街・新開地商店街の入口に見えたのは、大きな波と共に壁に描かれた源八寿しの文字。
ギザギザ加工が施された70円に心を惹かれ、ランチタイムのにぎり盛り合わせに赤出しがついて500円という文字を見れば、もうお店に入るしかありません。
注文したランチセットを職人さんが握る間にメニューを目で追えば、たいの皮の文字に一瞬目が止まりつつ、確かに70円から始まるラインナップに心が踊ります。回転寿司が増えるに連れて町のお寿司屋さんを見かけなくなったなぁ…と感じる中、明朗会計なことも含めてこういったお店の存在って嬉しくなりますよね。
さぁ、お目見えしました。これで500円ですか…!にぎり8貫にかっぱ巻き。70円と思えないイカを皮切りに鮮度バツグンのマグロや白身、仕事の効いた穴子にタコにと、ネタシャリ大きめの満腹スタイルで舌を喜ばせてくれます。
食べていて思い出したのは、20年ぐらい前に有楽町マリオンの裏手にあった小さなお寿司屋さん。まだ公務員だった時代に1.5人前を食べるのが贅沢でした。
赤だしの中には魚のアラがたっぷり。三つ葉の香りと爽快感に乗って魚の旨味が溶け込んだお椀を口にすれば、なんとも心が落ち着くもの。
この時点で腹9分ぐらいだったのですが、追加でサバを2貫だけ。いやぁ…大満足です。
お店の眼前にあるラウンドワンは、かつてこの町のシンボルだった劇場・聚楽館の跡地に建つもの。一方、ここから歩いてすぐの場所には上方落語の定席『喜楽館』がオープン予定。浅草と並ぶかつての歓楽街としての賑わいが再生しつつある新開地ですが、実はこのお店の若旦那が上方落語協会に手紙を送ったのが喜楽館建設のきっかけ。きっと、にぎりには町を愛する気持ちも込められているんでしょうね。