八戸駅から車で揺られること約1時間、
到着したのはチェリウスという施設。
よく、養鶏場の入口に置いてある卵の自販機に、
なぜかりんごジュースが入っているという、
シュールな光景を横目に館内に入ってみます。
「ようこそ!南部町へ!」と、
全身で出迎えてくれたのは、南部町の関向さん。
えらく熱い出迎えですが、南部町と言えば、
青森県で最もグリーンツーリズムが盛んな土地。
「達者村」というバーチャルな村を活動ブランドとして、
農家民泊といったソフトの運営に加えて、
将来的な長期滞在や定住まで目指す活動に取り組んでいます。
そんな、熱いおもてなし心を見える化すれば、
きっと村の皆さんが、こんな感じの笑顔なんだと思います。
で、ここに来た目的は、
南部町で栽培されている豊富な果物を、
旬な時期に摘んで食べて調理しての体験ができる、
「北のフルーツパーラー」というイベントに参加するため。
受付パスと透明な容器を手にして、
早速、果物が育まれている現場に向かうことにしましょう。
南部町で採れる果物が、
旬を迎える時期に開催されるのが、このイベント。
なので、年に数回訪れる開催日こそが、
実は果物の旬を教えてくれる絶好のタイミング。
で、今回のテーマはイチゴ。
ということで、木彫りのイチゴオブジェの出迎えを受けて、
ビニールハウスに向かいます。
3月の南部町は当然ながら肌寒いのですが、
大きなビニールハウスに入ると、
温かさもあってフワッと身体が軽く感じます。
そんなビニールハウスで、
イチゴを育てていらっしゃるのは、
坂下一雄さん。
ここは、高設ベンチ栽培という方法で栽培しているので、
屈んで摘む必要がありません。
お年寄りの方の場合は屈んで摘んで食べての流れは、
非常に負担が大きいのですが、
この方法なら不安なく「赤いイチゴを目掛けて!」という気持ちになれます。
そんなイチゴの美味しさを、
見極める方法として教わったのは2つ。
ヘタが上向きに勢い良く伸びているものが甘く、
花びらの枚数によって大きさが変わるそうです。
例えば、この花には5枚の花びらが、
一方、この花には8枚の花びら。
ということで、この花から実がつくイチゴは、
大きなイチゴになってくれるということです。
ちょっとだけ物知りになりました(笑)。
そんな背景を知ってからイチゴを吟味すると、
見方が変わるものです。
そして、我が子のように育てられた一粒をあとは食べるだけ。
そんな状態は、考えてみれば一番簡単な行為。
だから、美味しくいただかないと罰があたります。
早速、一粒摘んで口の近くに運ぶと、
一瞬にして甘く爽やかな香りが、
全身の隅々まで行き渡ります。
そして、口の中にじゅわっとエキスをにじませると、
もう・・・最高です。
イチゴもそうですが完熟の果物を食べると、
身体の感覚が変わります。
未知なる味を食べれば新鮮な記憶になって、
ずっと心に残る味になってくれます。
情熱の赤は作り手の想い。
やっぱり、現地に行かないと本当の味は、
見えないものだと感じました。