新青森の駅から弘前に向かう奥羽本線の車窓。
まだ何色にも染まってない線路沿いのりんごの木が、
秋の紅から雪の純白を経て、新たな生命が宿る白に移りゆく時期。
まるで青森の季節を繋ぐかのようなタイミングで、
弘前公園の外堀には満開の桜が咲き、
街をソメイヨシノ色に染め上げます。
今年は青森全般で春先の気温が高く、
弘前も一気に桜が開花。
いつもだったらまだツボミが目立つ時期ですが、
ふっくらと満開で咲き誇っています。
とはいえ、早くも花筏ができつつあって、
水辺は少しずつピンク色に縫い上げられていました。
公園を囲む建物に映り込む桜の姿、
借景と呼ぶにはあまりにも贅沢なものです。
追手門から公園に入り、道の左右から伸びる桜の道を通り抜けて、
赤く染まる下乗橋が視界に入るに連れて、人の数が増えていきます。
この天守の下にある石垣が、今年の秋から修繕工事に入るため、
この眺めとは10年間のお別れ。
名残惜しさもあってか、
例年以上にこの場所を動かない人が多かった感じがしますが、
きっと10年分の記憶を焼き付けているんでしょうね。
さて、この日は4月の青森にしては気温が高く、25度の夏日。
となれば、恋しくなるのはさくらまつり名物のアイスの屋台。
りんごアイスの文字が嬉しいところです。
公園内にはいくつものアイス屋台があるのですが、
その動きを見ていると、お店ごとに盛られる形に違いがあるものです。
秋田のババヘラ的に塗るような感じで山を作る、
こぼれ落ちないようにぎっちりと成形する、
そして一度盛ったアイスの上に、重ねるかのように盛りあげる。
個人的には3つ目が一番嬉しいのですが、
シャリシャリのシャーベット状のアイスが口溶けと共に、
りんごの果肉のシャリシャリへと移り変わる瞬間、
なんとも楽しいものです。
そして、やっぱり欠かせないのは三忠食堂。
お昼時間から少し外してみたものの、
やっぱりテントの中は満員御礼。
お目当てだったのは津軽そばですが、
出来上がりまでに30分ほど時間がかかるとのことだったので、
おでんとツブ貝をお願いしました。
やっぱり、青森のおでんにはネマガリタケが欠かせません。
座敷席であぐらをかきつつ、出汁がしっかり染みた練り物をつまんで、
ツブ貝の弾力を楽しめば、お腹も満開。
築城400年を超えて、新しい石垣によって歴史が築き上げられる10年後にも、
この味を桜と共に堪能したいものです。