青森県弘前市・2014弘前さくらまつり/10年先の石垣と百年食堂の三忠食堂へ
新青森の駅から弘前に向かう奥羽本線の車窓。
まだ何色にも染まってない線路沿いのりんごの木が、
秋の紅から雪の純白を経て、新たな生命が宿る白に移りゆく時期。
まるで青森の季節を繋ぐかのようなタイミングで、
弘前公園の外堀には満開の桜が咲き、
街をソメイヨシノ色に染め上げます。
今年は青森全般で春先の気温が高く、
弘前も一気に桜が開花。
いつもだったらまだツボミが目立つ時期ですが、
ふっくらと満開で咲き誇っています。
とはいえ、早くも花筏ができつつあって、
水辺は少しずつピンク色に縫い上げられていました。
公園を囲む建物に映り込む桜の姿、
借景と呼ぶにはあまりにも贅沢なものです。
追手門から公園に入り、道の左右から伸びる桜の道を通り抜けて、
赤く染まる下乗橋が視界に入るに連れて、人の数が増えていきます。
この天守の下にある石垣が、今年の秋から修繕工事に入るため、
この眺めとは10年間のお別れ。
名残惜しさもあってか、
例年以上にこの場所を動かない人が多かった感じがしますが、
きっと10年分の記憶を焼き付けているんでしょうね。
さて、この日は4月の青森にしては気温が高く、25度の夏日。
となれば、恋しくなるのはさくらまつり名物のアイスの屋台。
りんごアイスの文字が嬉しいところです。
公園内にはいくつものアイス屋台があるのですが、
その動きを見ていると、お店ごとに盛られる形に違いがあるものです。
秋田のババヘラ的に塗るような感じで山を作る、
こぼれ落ちないようにぎっちりと成形する、
そして一度盛ったアイスの上に、重ねるかのように盛りあげる。
個人的には3つ目が一番嬉しいのですが、
シャリシャリのシャーベット状のアイスが口溶けと共に、
りんごの果肉のシャリシャリへと移り変わる瞬間、
なんとも楽しいものです。
そして、やっぱり欠かせないのは三忠食堂。
お昼時間から少し外してみたものの、
やっぱりテントの中は満員御礼。
お目当てだったのは津軽そばですが、
出来上がりまでに30分ほど時間がかかるとのことだったので、
おでんとツブ貝をお願いしました。
やっぱり、青森のおでんにはネマガリタケが欠かせません。
座敷席であぐらをかきつつ、出汁がしっかり染みた練り物をつまんで、
ツブ貝の弾力を楽しめば、お腹も満開。
築城400年を超えて、新しい石垣によって歴史が築き上げられる10年後にも、
この味を桜と共に堪能したいものです。