青森県青森市・千成 雲の啜り初め。
善知鳥神社でお参りをした帰り道、
ちょうど小腹が空いてくるタイミングだったのですが、
都内と違って元旦から開いているお店は、
あまり多くありません。
なので、お店選びをしつつ、
青森駅の方に向かって歩いていたのです。
すると、見覚えのある赤い看板が輝いてました。
青森に住んでいた時、よくお世話になっていた千成。
新年早々、うれしいコトが続きます。
久しぶりにガラっと戸を開ければ、おかみさんから
「今日は鍋焼きうどんと中華そばだけしかできないんですけど、よろしいでしょうか?」
という一言。
でも、お目当てはまさに中華そば。それで十分でした。
注文したのは、ワンタンメン。
いつもは塩ワンタンメンで決まりなのですが、
今日は醤油味で。
スープは鰹に煮干しに昆布に、醤油ダレの端麗系。
シンプルな旨味のかけ算に、
ふわっと加わる醤油と海苔の香りが、
優しく抱きしめるように身体を温めます。
そんなスープは細麺をコーティングし、
啜るごとに滝を登るように口の中へ。
クセなく毎日食べても飽きない系の美味しさに、
余分なものは要りません。
そして、主役のワンタン。
スープに浮かぶその姿は、
まるでむつ湾上空を泳ぐ雲のよう。
レンゲで掬って口に運べば、
ちゅるんという擬音が具現化したような滑らかな舌触り。
スープの中からワンタンを追いかけて、
舌触りを楽しみつつ、でも最後の1つを食べるのが心惜しく。
こんなにも後ろ髪を引くワンタンメンも珍しいものです。
スープをほとんど飲み干したところで、
お店には次々とお客さんの姿。
きっと、このお店に来るまでの道のりも、
一種の参道なんでしょう。