築地・たけの食堂 大家族の食卓
青森から大切な客人がやってきた。
自分が青森からの客人を、
東京のお店にご案内する場合、
旨いものに囲まれた地に住む方なので、
お店選びに悩んでしまう。
ただ、自分よりも東京の旨いものを知るこの方からは、
「たけの食堂」という声があがった。
まだ、人が少ない時間帯にお店に入り、
テーブル席に座ったところで、
まぐろのぶつ切り定食と、豚天、そして穴子の白焼きを注文する。
次々に注文したものが運ばれてくる度に、テーブルは埋め尽くされ、
すべてのお皿が出揃ったときには、まるで大家族の食卓のような画になる。
色々な部位が入ったマグロのぶつ切りは、
素材の味を引き出す術を知っているお店だからこその、
ベストセレクション。
数年前にこのお店に来たときは、
魚=鮮度ありきという自分がいたが、
今思えば、この価格で技が効いたマグロを、
こんなにもたっぷり食べられるなんて幸せすぎる。
サクッっとした歯触りの衣から、
一気にエキスがほとばしる豚天。
ポン酢に浸して、衣をちょっと柔かくしたところで、
かぶりつくもよし、塩を軽く振って一口で頬張るもよし。
そして、皮目パリパリ身ふわふわ。
上品な旨さがたっぷりの穴子の白焼き。
そのまま食べて、焼きたての香りを口の中に残したり、
もちろん塩を振って食べたり、
マグロについてきたわさびをつけたり。
テーブルを占拠していた料理は勢いよく姿を消し、
残ったのはお茶の姿だけ。
食後は満腹と満足の感動で満ちていた。
青森の客人さま、このお店をご指名いただき、
ありがとうございました。また行きましょう。