埼玉県さいたま市・来集軒 もやしらーめん(680円)
電車に乗れば約20分、
東北新幹線に乗るために大宮に向かう車窓で、
何度も見てきた浦和の地。
狛兎が置かれている神社や、古くからのお茶屋さん。
始めて降りた地で見たあれこれに、
エキサイティングな気持ちになりました。
でも、一番はこのお店。
駅前のデパートの裏手にある通りに、
経年の格を感じさせる佇まい。
ガラスケースにディスプレイされたラーメンの丼を見れば、
その模様は雷門や龍ではなく、和な雰囲気に満ちていて、
そこに「五目そば」とか「野菜らーめん」とか書かれていると、
気にならない理由なんてありません。
赤い紙に手書きのメニュー、流れるような白い文字は、
どれを食べても優しさで包まれる未来を約束してくれます。
注文したのはもやしらーめん。
近代的なラーメン屋さんでは見かけないネーミング、
ラーメン二郎だとマシマシの対象となる具材。
でも、こういうお店のもやしが一番ウェルカムです。
端麗系のスープと麺の上に浮かぶ白いあんかけ。
大きな器のセンターで、もやしの白と豚のピンク色が輝いてます。
スープを飲めば鶏や野菜の旨味と甘味。
あっさりしていて飲み飽きそうもなく、
すっきりと感じる後味に、
研ぎ継がれた名刀のような切れ味を感じます。
そこに、あんかけを絡めれば、
もやしの瑞々しさとほんのり塩味が交わって、
益々スープが止まりません。
そんな旨さを少しずつ吸って、
ぷっくりした食感へと変わる細麺。
最初の味と後半の味の変化の大きさに、
感心してしまいます。
次回は、五目そばかはたまたワンタンメンか。
チャーハンも気になるところ。
でも、何よりいいのがご夫婦で営まれているお店の空気。
昔気質なご主人の雰囲気も、奥さんが湯切りをするリズミカルな動きも、
居心地の佳さを生み出してくれます。