【あき/静岡県富士宮市】住宅街の名店で食べる、富士宮やきそばとしぐれ焼き

07-06-13-3.jpg

富士宮といえばやきそば。色々な調理・提供スタイルのお店がある中で、家の近くにあったら確実に通うタイプのお店がこのお店。

住居兼店舗となっているので、店内には大きな鉄板と、それを囲むようにして置かれている6脚のイス、ウェイティング用のイスが2脚。そして、店頭には看板犬が1頭。

地元の方にとって、まるで実家別宅のごとくに、親しまれていることが伺えるように、先のお客さん4人が楽しそうに食事中だったので、ウェイティング用のイスも使って2:2に分かれて食べることに。

で、注文したのは、焼きそばの肉玉としぐれ焼きの肉玉とビールが3杯。下戸の自分は店頭の自販機でコーラを購入して持ち込んだ(「ソフトドリンクはありませんか?」と訪ねたら、お店の方曰く「外の自販機のジュースを持ってきてね」。そんなお店なのだ)。

07-06-13-4.jpg

まず、このお店では鉄板にラードではなく、サラダ油を引いて鉄板の上で伸ばす。

これは理由が2つあって、一つは単純にラードだと重厚感が強すぎるため、もう一つは、このお店、実は出前用をメインとして作られることが多く、冷えても美味しくということになると、ラードよりはサラダ油ということでこちらを使っているとのこと。
ちなみにこのお店、お店の営業開始時間になって最初にやるのは、近所の病院への出前用の焼きそば作り。なので、店頭に暖簾がかかるのは、12:30ぐらいとのこと。

07-06-13-5.jpg

まるで鉄板の上で中華麺やキャベツと会話しているかのように、高温の鉄板と向かい合いながらコテは力強く、それでも温かく動いている。そして、ムダのない一連の動作によって、肉玉ができあがった。

07-06-13-6.jpg

ラードではなくサラダ油を使っているので、全体に口当たりがあっさりとしており、そこにソースが強く主張するかのように絡んでいる。こってり土台から味が始まるラード型とは対照的な味の作り。豚肉やキャベツも大きめに切られているので、具を食べたという満足度も高い。

卵の使い方も、前島では半分まで焼きそばを食べたところで、生卵を落とし入れ混ぜて熱を通すことで、麺に絡めるという作り方だったのだが、こちらは半熟目玉焼きとして提供、黄身をそばと合えてコクを加える。

また、ここのお店のもう一つのポイントが、キャベツの水分の使い方。前島ではキャベツを切った後でザルに入れて水分を飛ばすのだが、ここは逆にキャベツは切ったものをそのまま使う。こうすることで、キャベツの水分が持つ甘みや旨みを、そばがしっかりと吸収してくれるからである。

ラードを使わないと麺のボリューム感に味の濃度が負けてしまうのではと思ったのだが、サラダ油やキャベツを使う、「ウチの店の味」というゴールが明確になっているので、申し分のない作りとなっている。

07-06-13-7.jpg

こちらは、同時進行で作られているしぐれ焼き。ネギがたっぷりと入った色鮮やかなカタマリが裏返されて、たっぷりのダシ粉が振りかけられる。

07-06-13-9.jpg

さっきは、ズルズルとすすって食べていた焼きそばを、生地を通じて具として食べると、その印象は一変。ボリュームの作り方が主食→具となるので、より食べ応えが増すこととなる。

香ばしく焼かれた皮のパリパリとした食感に包まれるのが、蒸し焼きのごとくに瑞々しさを持った麺やキャベツ、そして卵と豚。ここでも、サラダ油+ソースの味設計がいかんなく発揮されており、食べやすさは十二分。

07-06-13-10.jpg

やはり、この2種類を食べてこそ、富士宮やきそばを、あるいは富士宮の鉄板文化を理解できるということ。そしてお店によって作り方に対するポリシーが違い、個々に明確な設計図を持っていることを再確認できる。そんなおいしいお店だ。

【この記事を書いた人】

合同会社ソトヅケ代表社員/Local-Fooddesign代表

商品企画開発から執筆・撮影、ウェブサイト・パンフレット等のPRツール制作など。作ると伝え届けるの領域で、企業やお店の売上作りをサポートします。

行政時代から地域で培った経験と実績を元に、課題の抽出整理から施策の実行まで、皆さんの目標を達成するパートナーとして伴走します。

ポートフォリオやサービス内容は、名前に貼ったリンクからウェブサイトをご覧ください。ご相談やお問い合わせもお気軽に!

住みたいグルメ!をフォローする
静岡中部鉄板/粉もん料理