【ひまわり/静岡県富士宮市】おばちゃんの鉄板しごとが作る、愛情たっぷりのやきそばの味
浜松で餃子を食べて、つま恋で温泉に浸かり、車を走らせた先は富士宮市。ということで、やっぱり焼きそばが欠かせない。
第2回のB−1グランプリの時、4件のハシゴをしたものの、学会の公式ガイドブックには、140店舗以上もの提供店が掲載されているだけに、まだまだ行きたいお店が目白押し。
ということで、そんなお店の一つ・ひまわりへ。
引き戸の先には、大きな鉄板が置かれた逆L字型のカウンター。イスに座っていると、カーテンの奥にある台所から、キャベツを刻む音が軽快に聞こえてくる。
壁には木札に書かれた焼きそばやお好み焼きのメニューがずらり、それ以外にもおつまみメニューが目白押し。でも、注文したのは、ミックス焼きそばとしぐれ焼き。そのために車を走らせてきたのだから。
目の前の鉄板ではなく、既にお客さんが座っている席の鉄板で、自分たちの分も焼かれている。斜め後ろから見えるおばちゃんの所作には無駄がなく、まるで、鉄板と会話するごとくに、一つ一つの料理を作り上げていく。だし粉を振る所作なんて、見入ってしまうほどだ。
半熟の黄身がプルプルする焼きそば。
目玉が乗ってないところから一口。キャベツの甘さと独特の麺のコシとハリ。そして、肉カスの独特の脂感。これをソースと卵の黄身が包み込む。
あっさり型のように、どこか近代的にコントロールされたような味ではなく、鉄板でいい感じに焼かれた味。でも、経験に裏打ちされた色々な技や工夫が見え隠れする。それがたまらない。
そして、焼きそばの麺がキャベツと肉かすが入った生地と、一体になったしぐれ焼き。
パリパリに焦げて、弾力系の食感が香ばし系の食感に変わった麺が、入り交じっているので、粉に粉を組み合わさってることの単調感はなく、ぺろりぺろりとコテを経由して、お腹の中に消えていく。
このお店に行くということは、おばちゃんの技と鉄板に対する愛情を、食べることだと思う。
だから、帰りにお土産用の焼きそばを、焼いてもらおうとも思ったものの、目の前で焼く姿に会いにいかなければならないと思って、自粛した自分がいた。