【前島/静岡県富士宮市】鉄板を囲んで食べる焼きそばとしぐれ焼。そして謎のアイス

前島の店頭.jpg

富士宮やきそばのルーツは駄菓子屋にあり。近所の子どもに鉄板で焼かれたお好み焼きや焼きそばを提供してきたことが、地域の味の記憶として受け継がれている。

そんなお店の一つが富士宮の住宅街に店を構える前島。普段は行列ができるというが丁度見つけた空席になだれ込む。レジに置かれていたメニューから、焼きそばの肉玉、ミックス、「しぐれ焼」の肉玉、そして麺類みな兄弟の考えに則ってラーメンを注文。

前島のラード

このお店の味はラードから始まる。よく見かけるラードの色は真っ白なのだが、お店の看板娘であり、お一人で焼きを担当しているおばちゃんにしてみると、「それは違う」とのこと。熱々の鉄板に流し込み、少し茶色がかった白濁色が透明に変わったら、そばを投入。ちなみに、このお店ではマルモ製のそばを使用。

前島の焼きそば麺

で、そばの横では、しぐれ焼の生地を薄く焼いている。しぐれ焼とは、広島のお好み焼きのごとく、鉄板で焼かれたキャベツや生地に、焼きそばを組み合わせたものである。

前島のしぐれ焼き

それなのに、しぐれ焼という名前なのだが、どうしてこの名前がついているのか、実はお店の方もご存知なく、いつの間にかこの名前になっていたらしい。

生地の上にキャベツを乗せて、更に熱を通す。ところで、この時期のキャベツは新キャベツなので、水分が多い。ということで、このお店では細かく刻んだキャベツを、一旦ザルに入れて外気にさらしておくことで、水分を飛ばしてから使っている。こうすると余分な水分が飛び、甘さが凝縮されることになる。

前島のしぐれ焼き

キャベツに軽く熱が通ったら、そばを生地に乗せて更に豚肉とネギを加える。

前島のしぐれ焼き

こうして完成に近づきつつあるしぐれ焼の隣では…

前島の焼きそば

同時進行で作られていた焼きそばのミックスと肉玉から、食欲を刺激する香りが発せられていた。

前島の焼きそば

で、しぐれ焼はまだ調理の途中なので、先に焼きそばを食べると、ラードを使っているにもかかわらず食べやすい。まら、富士宮やきそば特有の弾力に溢れたそばの強さを、いい具合に立てており、そこにソースの酸味ではなく、まろやかな味が加わることで、申し分のない満足度を生み出している。

つまり、どれかの調味料の味が勝つのではなく、しっかりとそばに対してフィットする味がバランスよくちりばめられているのだ。また、鉄板のままで食べるので、麺がパリパリに焼かれることで、そばそのものが、そばに対するアクセントとして活きることになる。

そして、しぐれ焼は仕上げの段階に。そばが盛られた生地を裏返して、横で卵を焼く。

前島のしぐれ焼き

これに生地を重ねて、仕上げにソースが塗られて完成。

前島のしぐれ焼き

コテで6分の1に切り分けて、口に放り込むと、フハフハとガマンできなくなるぐらいの熱さ。そして、そこから広がるのは、ふんわりしっとりとしたキャベツや内側に面した生地の口当たり。もっとがっつりとボリューム系なのかと思いきや、完全に真逆の繊細な作り。はっきり言ってこれはすごい。

焼きそばも、ここでは弾力よりもパリパリと生地的な役割を果たしており、内部の口当たりとコントラストを生み出している。

そして、もう一つ注文したラーメンが運ばれてきた。

前島のラーメン

これで驚きの110円。値段には子供でも気軽に食べられるようにとの思いが込められている。食べて身体が温まり、お店の姿勢で心が温まる。そんなお店にはもう一つの名物が。

前島のアイス

こんなメモを見つけてしまったので、一つ注文すると…

前島のアイス

この姿とこの味、締めには必須である。

【この記事を書いた人】

合同会社ソトヅケ代表社員/Local-Fooddesign代表

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