2015年の元旦に青森で食べる、今別町の伝承料理「あづべ汁」

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今年も年越しは青森で迎えました。恒例となっている善知鳥神社の参拝路もですが、今シーズンは積雪量が多く例年以上に神社界隈界隈が白く染まっていました。

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その足で向かったのがアスパム。お供え用の鏡餅と田酒、そしていくべえがお出迎え。もうデビューして数年経ちますが、記念撮影に応じる姿には貫禄すら感じます。

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で、その横に掲示されていたのがお振る舞いのお知らせ。来年の3月に開業予定の北海道新幹線。青森県内で唯一の新駅が建設されている、今別町で食べ継がれる伝承料理「あづべ汁」です。

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細かく刻まれた大根やコンニャク、椎茸、厚揚げ、そしてわらびやフキ、根曲がり竹といった豊富な山菜が入った醤油仕立ての汁物です。昆布と焼干しの出汁が効いたあっさりした飲み口の中に、野菜の甘みや山菜の風味がくっきり浮かび、油揚げのコクがボリューム感を出しています。

ところで、ポスターにも書かれていた「けの汁」との関連が色々と興味深いものでした。

けの汁

元々、けの汁は小正月の期間にお母さん方が料理から離れて、身体を休めるために鍋でたっぷり作られる。という機能的な側面も持っています。なので昔は魚や油揚げといった傷みに繋がる具材を使うことは少なかったものです。また、けの汁が味噌仕立てなのに対して、こちらは醤油仕立て。由来の一つに七草粥の七草部分がおかずとして独立したものという説があり、弘前や黒石、あるいは青森市で食べるけの汁は、味噌がしっかり効いた味付けで煮物に近く具だくさんというものです。

けの汁(家庭鍋)

その一方で、日本海沿岸の深浦町で食されているけの汁にも醤油仕立てのタイプがあります。もしかすると、海沿いの土地では身体を温めるという機能性が一層求められるゆえ、海の幸で出汁を引き根菜や大豆加工品を加えた、汁物の形態で伝承されてきたのかもしれません。

そんなあづべ汁もまた、今別町の家庭内で作り継がれてきた料理でしたが、昨年その存在が掘り起こされ、今では地元の食堂のメニューにラインナップされています。

あづべ汁という名前の由来は、山や畑から色々な具を集めて作ったお汁というもの。新幹線開業で色々な人が集まるきっかけの一つが、同じようなストーリーを持つ一杯なんて、素敵な物語だなと思うのです。

【この記事を書いた人】

合同会社ソトヅケ代表社員/Local-Fooddesign代表

企業とお店の外付け商品開発・広報部として、国・地方自治体時代の経験とマーケティングの組み合わせで、作る×伝えるでお客さんとの繋がりを丁寧にサポート。

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