八戸市・大洋食堂 はやて定食(1,600円)
新幹線の八戸駅から太平洋側、例えば種差海岸なんかに向かうとき、決まって通る道がある。
陸奥湊駅前にあるこの道を、ゆっくりと2WDの車で進んでいる時に、前から気になっていたのがこの建物。普段は車を止めてじっくりと眺めることがなかったものの、車の通りが少なかったこの日、ハザードランプを点灯させてみることにした。
「食堂」の文字は動く車からでも見えたのだが、店頭のメニューを見て、改めてこの引き戸の奥に行かないわけにはいかないと思った。
カウンターに座り、メニューを見ると驚くほどのラインナップ。魚系のメニューならなんでもありといった趣だ。そして、注文する際には備え付けの紙に書くのだが、そこには必ず名前を書くというルールがある。
で、この日注文したのは刺身3品におかず一品、そして八戸ならではのアイテムが付いてくる「はやて定食」。
目移りする中から希望の品を書いて、お店の方に渡したら待つこと約10分。「○○さ~ん、お待たせしました」と、いう声とともに、目の前に定食が運ばれてきた。
10センチ先にある幸せ、どれから手をつけるか。これほど、それに迷ったことはなかった。
八戸、というより南部地方と言えばいちご煮。実は、青森で食べたのは初めて。あわびの濃厚なダシとウニの甘いコクが一体になった味は、汁ものらしからぬスケール感。
お刺身は、八戸に来たら食べておきたい地物のサバ、サメのぬた、そしてイクラ。脂がしっかり乗ったサバや、酢味噌がしっかり絡んだ、独特の弾力を持つサメのぬた。そして、イクラという順番で食べると、もうご飯が足りなくて足りなくて仕方がない。
そして、おかずはサンマと大根のなます。サバの豪快な脂に対して、酢が青さの適度に残る脂を上手く整えているサンマのなますは、申し分のない味。酢のおかずは、他の調味料が主となるおかずより、ご飯が進みにくいイメージがあるものの、これは脂と魚の旨みがしっかりと残っているので、進むこと進むこと。
これで1,600円。お店の方が「はやてに乗って食べに来てほしい。」という思いを込めて名付けたこの定食。新幹線ではないものの、今度はスタッドレスタイヤを履いた車を走らせて食べに来なければと思った。