浦和に足を運んだある日のこと、前にも食べたもやしラーメンのお店に向かったところ、生憎シャッターが降りていました。
まだ2回しか降りたことがない駅だけに、店選びにアドリブを効かせるのが難しかったのですが、目に止まったのが一軒の甘味処。店頭に描かれた「きしめん」の文字が、店内に招き入れてくれたのです。
メニューを一通り見ると、きしめん×甘味のセットと、きしめん×お赤飯のセットが。甘味処なので前者のセットにも心が惹かれつつ、空腹感もあって後者を注文しました。
器の中にたっぷり張られた澄んだおつゆ、そこに泳ぐきしめんと浮かぶお餅の白。お赤飯と組み合わせた色合いで、無意識に縁起のいいセットができていました。
薄く色づいたおつゆを一口飲めば、香りと共に広がるたっぷりのかつお出汁。そして、滑らかな舌触りで喉の奥まで走り抜けるきしめん。レンゲと割り箸を何度も持ち替えながら、この組み合わせを堪能します。
そして、お赤飯を一口。白ご飯だと感じない口の中で生まれる風味は、無意識に日本人が愛する不思議な和のマリアージュ。
思えば、出汁を欲するのはいつも突然。「動物的な出汁を口にしたい!」と思う日があれば、「魚出汁を口にしたい!」もあったり。でも、最後の一滴を口にした瞬間に確信しました、身体は魚出汁を欲していたんだなぁと。