思えば、約1年半ぶりの八戸。
中心街では新しいビルの工事が進み、町中の横丁にはネオンが輝く。
そんな街の中心にあるのは、みろく横丁。
おんで市とやんせ市、二つの通りに色々なお店がある中で、
やっぱり自分はここに吸い寄せられます。
お通しはイカの煮物とポテトサラダ。
イカどころの八戸を象徴する品に加えて、
日替わりメニューから最初に選んだサメなます。
酢みそに絡まったサメ肉のプルンとした歯触りと、
ぱちんと弾けるような旨味。
次は、自家製のしめサバ。
舌の温度でしっとりした脂が溶けると、
口の中はもう太平洋です。
となれば、地酒の出番です。
グラスになみなみと注がれた陸奥八仙、
コースター代わりに支えるのは南部せんべい。
あふれ出た透明な液体を吸ったせんべいは、
酔いが回るにつれて少しずつ柔らかくなり、
くにゅっという歯触りと鼻腔を通る爽やかな香りが、
開放的な気分に誘います。
そして、締めはせんべい汁。
春の弘前公園を囲む桜筏のように表面に泳ぐ菊の花は、
鮮やかな色が食欲を彩ります。
あっさりと、でも力強い鶏出汁の旨味に、
シコシコもちもちと、アルデンテの食感に変化した南部煎餅。
野菜の味と香りが染み込んだおつゆが、
身体を芯から温めてくれます。
わが家のあるみろく横丁は、
定期的にお店が入れ替わり、敷地内で場所も少しずつ移動しています。
で、今は二つの市と横に伸びる花小路が交差する角に。
楽しく美味しい角打ちは、八戸の醍醐味です。