高松へ、徳島へ、瀬戸内へ。〜その8 豊島・おばちゃんの店うらら 最高の「いつものごはん」、そして「豊島をアイス」。〜

13/08/2012

おばちゃんの店うらら-01
新潟だったり青森だったり、
ここ数週間で旅に行く機会が多くなっています。
で、これは去年の秋に、瀬戸内海のアートイベント
”ART SETOUCHI”をメインに、
香川や徳島、岡山を巡った時の話。
(ずいぶん前に綴り始めた話ですが…)
瀬戸内海に浮かぶ犬島の精錬所を後にして、
定期船に乗ったのはお昼前。
少しずつ灰色が青色に変わる空を眺めつつ、
次の目的地、豊島(てしま)に到着しました。
食とアートを地域資源に掲げる豊島には、
豊島美術館というランドマークがあるのですが、
あいにく回る時間がなく、この島の目的だったお店に向かうことに。
おばあちゃんの店うららは、
豊島で育まれた野菜や瀬戸内海の魚を、
奥様が調理をして提供する食堂。
でも、食堂というよりは田舎のおばぁちゃん家のように、
ガラガラと玄関扉を開き、靴を脱いで大広間に案内される。
という具合です。
そんな空間で食べることができるのは、うらら定食。
日替わりなので、その日のベストな味が並びます。
お盆で運ばれて来たのは、
お刺身だったり煮付けだったり。
いわゆる家庭料理、そして島の味。
丁寧な手仕事がずらりと並びました。
しかも、お米は豊島の棚田で栽培されたもの。
お米一粒一粒から滲み出る甘さが心に染みます。
特に印象的だったのが、
小骨が多い魚を2日ほどお酢に漬けて、
骨まで柔らかくしたおかずの話。
海に囲まれるということは、資源が豊富である一方、
自然との共生が欠かせないゆえ、
生活の知恵が食生活に宿っているということ。
きっと、この味もそうだったんだろうと、
今でも思うものです。
もちろん、ご飯をお代わりしました。
このおかずに接する時間は一生ものですから、
一秒でも長く触れていたかったのです。
食後の余韻に浸る中で、
お願いして出してもらったのは、
うらら名物のイチゴアイス。


おばちゃんの店うらら-01
その名も豊島をアイス。
郷土愛に溢れたネーミングもさることながら、
イラストに描かれた、おばちゃんの顔がなんとも可愛いんです。
おばちゃんの店うらら-01
元々、豊島はミルクの島と呼ばれる程に、
乳牛が盛んだった土地ですが、
今では酪農をされている家はほとんどなく、
貴重なものなんだそうです。
また、豊島にはかつて産廃の不法投棄がなされ、
今も負の遺産が残されています。
そこで、そのイメージを払拭するために、
豊島ではイチゴの栽培が始まったそうです。
優しいミルクの甘さとコク、そしてイチゴの酸味が
心にじんわりと染み入る美味しさ。
暑い陽射しが残る中で、身体が安らぐ味でした。
おばちゃんの店うらら-01
豊島で食べた料理は、
いつか、どこかで食べる機会がありそうだから、
いつの間にか食べることを忘れてしまう料理。
そんな側面を持ち合わせています。
「旅は人に会いに行くこと」という考えがありますが、
うららに行くということは、まさにそれであり、
食文化に会いに行くことでもあります。
例えば、「ごちそうさま、また来るね」の一言が、
新しい旅のスタート。
そして、お箸を通じて地域との繋がりが始まる瞬間。
こんな時、食べ物の偉大さを改めて感じずにいられません。
おばちゃんの店うらら-01
豊島からの船は直島に到着し、
高松行きのフェリーが出発するまでの間、
島内に点在するアート作品を眺めたりしました。
港の近くにある草間彌生さんの作品には、
夕方の優しい陽射しが照らされ、
まるで公園の遊具のように、
笑顔と歓声で包まれていました。

この記事を書いた人

takapu

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/Local-Fooddesign代表。「10年後でも古びないモノ・コトづくり」をコンセプトとした商品・サービス開発、既成品リニューアルをはじめ、食と旅がテーマのコンテンツ制作・事業、編集、撮影、執筆、漫画原作、講演を手がけています。プロフィール・事業実績はこちらから