
再開発が進む大宮・さいたま新都心と、浦和エリアのちょうどど真ん中。高層マンションが目立つ与野駅の西口に対して静かな町並み感のある東口。駅前商店街の先の交差点の一角で、少し前までシャッターが降りていた空き店舗が一軒のラーメン屋さんに大改装。
小さな木の看板に記された『ふくのや』の文字。ちょっと調べてみると桶川で人気を博していたお店の本店が、なんとここに移転したというじゃありませんか!
界隈にラーメン屋さんがないこともあってか、オープンしてすぐは長蛇の列ができていた店頭。それでも「お盆休みならもしかして…」ということで足を運べば予想通りの塩梅感。さっそく暖簾をくぐってみました。

店内はカウンター席が7〜8席程度と、4人がけテーブルが2つのこじんまりサイズ。一生懸命に麺を啜る背中がズラッと並ぶカウンター席を横目に、案内されたテーブル席でメニューを見ると、塩・醤油・味噌が全部揃う最近ではちょっと珍しい万能型のお店。
ちょっと迷いながらも<塩>の文字が最初に来ているのですから、これを注文するしかありません。

さっぱりした口当たりから、スーッとなめらかに広がる塩とんこつスープのコク。中太麺のハリの強さがすすり心地良さに直結し、噛めばクミクミとした歯ざわり。塩加減もちょうどよく、奇をてらったタイプではなく実直に作られた味に身体が静かに喜びます。
具材のメインは、箸で持つだけでホロッと崩れるバラ肉チャーシュー。頬張ると柔らかさに驚きつつ噛むことなくエキスがじんわりと。これは<ちゃーしゅーめん>が気になります。また、ゴマやキクラゲ、メンマと段階的に食感のアクセントがセットされているのも、啜る楽しさを増してくれます。
食べ進めているうちに温度が落ち着くスープも、口当たりが重くならず最後までしっかり飲めるのは丁寧な作りの証。ラーメンの大盛りは禁忌に近いけど、食べ終えて「あぁ。もう少し食べたいなぁ」って感じさせるのが後を引くいうことなら、ここは自分の後ろ髪を精一杯掴んでくれるお店です。

ところで、メニューの裏面にはおつまみメニューやごはんものの数々が。
<小さいらーめん>とごはんものを組み合わせたり、おつまみとビールで一杯楽しんだ後に締めの小さい一杯を食べたりと。少ないメニューながら色々な使い方が想像できる提案が随所に。飲み屋も少ないこの一角で貴重な存在となってくれそう。
温かな女性店員さんの接客がほっこりする食後感を作り出しているのと、年中無休なのもポイント。ということで、味噌とんこつをはじめ色々なシーズンメニューもいただきました。